スタッフ

阿部聡子:自分の関わり方次第で、子どもたちの可能性を引き出していける。

2016/09/01

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子どもや若者を対象とした社会教育活動に取り組んでいるNPO法人夢職人では、多種多様なバックグラウンドを持った大学生や社会人がボランティアスタッフとして多数在籍し、子ども達の多彩な体験活動を支えています。

ボランティアスタッフの詳細

スタッフは、先生や親とは異なる立場から子ども達と関わり、親しいお兄さん・お姉さんのような存在です。「another story-もう一つの社会との関わり方」では、そんなスタッフたちが活動をはじめた経緯や活動で感じたことなど、普段はあまり語ることなかった物語をお伝えします。

今回は、阿部聡子さん(あべちゃん)をインタビューしました。

―普段、どんなお仕事をしていますか?

東京都で公務員として働いています。主に障害をもつ方に対し、検査や面接を通して心理的な援助をする仕事をしています。大学は、教育系の学部で学んでいました。夢職人でのボランティア経験は、約2年になります。

―普段のあべちゃんは、お休みの日にどんなことをしていますか?

野外フェスが好きで、よく足を運びます。年に1回は地方でキャンプをして、一晩中音楽を楽しむのが、プライベートの楽しみです

―あべちゃんは仕事でも子どもと関わることが多いと思いますが、まずは現在の仕事についた理由を教えてください!

さかのぼっていくと、小学生時代の担任の先生からの影響が大きいですね。私は、小さい頃から本を読むことが好きで、先生から「作文が得意だからコンクールに作文を出してみない?」とか、「高学年になったら新しく委員会にも挑戦してみてほしい」と私のチャレンジ欲を上手に引き出してくれる先生でした。子ども1人1人の個性に合わせて、得意なことを伸ばそうとしてくれる先生で、今、振り返ると本当に良い先生だったなってすごく思います。

そんな経験もあり、大学の進路を決める時に、私は「子どもの将来に影響を与えられるような人になろう」と決めて大学を探しました。この時に驚いたことが、子どもを支える仕事って色々あるんだなってことでした。学校の先生だけではないんだなってことに気づいたんです。だから大学は、教員免許もとれるし、臨床心理士の資格もとれる大学に決めました。教育実習などの経験は、自分がやりたいことって“勉強を教えること”なのかなと考えるきっかけになりました。様々な子どもと接する中で、学校教育という制度に子どもたちみんながマッチするわけではないことも知って。そんな子どもたちが自分の道を見つけるまでを支えられるような仕事に就きたいって考えて今の仕事を選びました。

―なるほど。今の仕事に就いた経緯は小学生の時の影響が大きかったんですね!“あべちゃん”は社会人になってから夢職人に参加し始めたと思いますが、なんでボランティアを始めようと思ったのですか?

私がボランティアを探し始めたのは、社会人2年目になって仕事にも慣れ始めてからでした。休日に何か打ち込めるものを始めてみようかなって思ってたんですね。友達でも仕事以外に新しいことを始めている人が多かったり、社会人になって東京に引っ越してきたこともあり、新たなコミュニティに飛び込んでみようかなって思っていた時期で。で、何を始めようかなって考えてみると、「やっぱり子どもに関われる活動をしたいな!」ってなっちゃったんですよね(笑)当時は仕事の中で関わる子どもから、“先生”って呼ばれる立場であることに、違和感を感じていたこともあって。もっと身近な立場でコミュニケーションを取れる場を探していました。

色々探す中、どうせやるなら子どもたちにとって、成長の糧になる経験や大人になっても思い出として残る活動をしていきたいなと思っていました。たまたま見つけたのが、夢職人で、「地域の大人で子どもたちを支えていく」という考え方にすごく共感して、「ここに応募してみよう!」って決めました。あと、自分が住んでいる地域で活動していたので、せっかく縁あってこの地域に住むことになったから、「もっと江東区のことを知りたい!」っていうのも決め手でした(笑)

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(野外音楽フェスなども大好きでよく参加している)

―夢職人を始めて約2年。活動してきて印象に残っていることは何かありますか?

夢職人では、本当に色々な小学校や中学校から子どもたちが集まってくるので、子どもたち同士は、学年もばらばら、その日に初めて会った関係で一日がスタートするんです。朝からすぐに仲良くなるとか、チームになっていることはありえません(笑)そんな中で、ある時担当した子たちの中に、「トイレに行きたい」とも自分から言えない子がいて。保護者の方からも、「学校でも友達とうまく関われなくて心配してます」と話を聞いていました。みんなで遊ぶ時も、自分のやりたいことが優先で、周りの子はおかまいなしみたいな感じでした。

そんな子が、夢職人の活動に何回か来てくれ、私も何度か関わっていく中で、段々と成長していく姿を見れたことが一番印象に残っていますね。新しく夢職人に入った子に、色々教えてあげていたり、自分からも意見を言ってチームを引っ張っていく姿を見れた時は、本当に驚きました。子どもって何か自分が頑張ったことを、人によく見せに行くことが多いんですけれど、真っ先に私のところに来て、「あべちゃんこれ見て見て!僕が作ったの!」って自慢しに来てくれることが本当に嬉しいです。

― “あべちゃん”が子どもたちと関わるときに気をつけていることは何ですか?

さっきの話と重なるのですが、チームで遊ぶ時は、どの子にも発言のチャンスを設けることは意識しています。最初は自分から意見が言えない子は多いので。あとは、低学年の子は、言葉で伝える力がまだ発達していないので、たまによく分からないことを言い始める時があるんですね(笑)その時は、大人が勝手に解釈して考えを誘導したりせずに、その子が言いたいことをできるだけ理解して、他の子に伝える役割をとれるように努めてます。

でも一番意識しているのは、子どもたち1人1人との関係をまずは築くことかな。信頼できる大人が近くにいて、安心できる場作りをすることで、子ども同士のコミュニケーションも豊かになって、子どもたちそれぞれが自分の意見をちゃんと言えるようになっていくと感じることが多いですね。

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(子どもたちから親しみやすく、どんな子ともすぐに仲良くなれるあべちゃん)

―これまで活動してきて、何か学べたなって思うことはありますか?

例えばたくさんの子どもを相手にファシリテーターをすることとか、子どもと直接かかわるスキル面についても、仕事でできない経験をたくさんさせてもらっています。ただ以前と比べて1番意識が変わったなと思うのは、仕事とボランティアの両立のところかな。正直、やっぱり仕事とボランティアの両立は大変だと感じることもあります(笑)でも、それだけ自分のためにもなっているとも感じています。例えば、ボランティアを始めてから「時間内に仕事を終わらせよう」と以前よりも時間を効率的に使えるようになったし、オンオフの切り替えを意識的にすることで、集中して物事に取り組む力もつきました。何気なく過ごしていた平日の夜や休日が、今はとても貴重で充実した時間になっています。

―夢職人で得たことを今後はどのように活かしていきたいですか?

もともと子どもたちと関わりたいと思って入会した夢職人でしたが、子どもたちはもちろん、保護者の方や高校生、大学生、社会人など幅広い層のスタッフに出会えたことは大きいなと感じます。対人援助の仕事をしていく上では、「相手の立場に立って考える」ということがとても大切だと思うんですね。社会的な立場や価値観の異なる人と対峙したときでも、その人が歩んできた背景や大切にしているものを知る努力をして、一緒に考えていけるような心理士になることが理想です。

―あべちゃん、ありがとうございました!

(インタビュアー:よこ)

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保護者の声

親としては子どもが自分の身の回りのことをちゃんとできるか心配しましたが、特に問題もなく本人が楽しく参加できたようなので本当によかったです。
親が離れると不安を感じるタイプだったので、それをクリアさせたいと思い参加しました。最初はかなり緊張した様子でしたが、何回か参加するうちに知っている顔も増え、慣れたようです。
キャンプから帰ってくると、スタッフからキャンプ中の子どもの様子を報告してもらえるのもとても良いと思います。安心して預けています。
キャンプの前に面談があるので、子どものアレルギーのことなどを事前に伝えておくことができたのもよかった。継続して参加していると、昨年できなかったことが今年できるようになったなど成長を感じられます。
スタッフの方から連絡帳で、班長の役目をきちんと務めたことを教えてもらえたのはよかったです。将来大きくなって、今度はスタッフとして関われるようになったら素敵だなと思います。
何度も参加したりして人と人とのつながりができるのが魅力的。何でも不安になりがちな子だったが、一度参加して以来、積極的に次の参加もしたがり、一皮むけた感じがしました。

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