2022/06/08
子どもや若者を対象とした社会教育活動に取り組んでいるNPO法人夢職人では、多種多様なバックグラウンドを持った大学生や社会人がボランティアスタッフとして多数在籍し、子ども達の多彩な体験活動を支えています。
スタッフは、先生や親とは異なる立場から子ども達と関わり、親しいお兄さん・お姉さんのような存在です。「another story-もう一つの社会との関わり方」では、そんなスタッフたちが活動をはじめた経緯や活動で感じたことなど、普段はあまり語ることなかった物語をお伝えします。
今回は、松井美帆さん(みーほ)をインタビューしました。
-簡単に自己紹介をお願いします。
松井美帆です。昨年3月に大学を卒業して、幼稚園の教員になりました。
-幼稚園の先生になったのですね!前回のインタビュー時は保育園と幼稚園で迷っていると言っていましたが、幼稚園にした決め手はありますか?
大学生の時の教育実習で幼稚園に行ったのがきっかけです。保育園は赤ちゃんから様々な年齢の子どもたちが来ますが、実習の時にある程度会話ができるようになってきた年齢の子とお話しする方が好きだと感じました。
4年生になってからその経験もあって、なんとなく幼稚園かなと考えて、夏を過ぎたころからしっかり考えるようになり、幼稚園の教員に決めました。
一口に幼稚園といっても、私立か公立かだけでも人数の規模や内容が大きく違いますし、遊びが基本で自由なところもあります。私はあまりきっちり内容が決められていないところが良いなと思って、今の園を選びました。
-経験をしながら色々と考えて、今の仕事を選んだんですね。お仕事中は、毎日どんなことをしているんですか?
朝 8時半ぐらいに最初のバスと送りの子が到着して、10時ぐらいに子どもたちが全員揃うまで外遊びをして、10時から体操や行事の練習などをします。給食を食べたら外遊びをして、子どもたちは2時に帰ります。そのあとは掃除や打ち合わせ、園で使うものの製作を6時ごろまでしています。
-朝からスケジュールびっしりで忙しそうですね。どんなところにやりがいを感じますか?
子どもたちと毎日一緒に過ごしているので、新しいことを一緒にやったり、それを楽しいと思ってくれた時ですね。感情が素直に表情に出る子が多いので、楽しいことを一緒に経験できるのは楽しいです。あとは、子どもたちのできることが増えていくことを感じられると、うれしいです。
(仕事が休みの日には、友人と出かけたり、食事に行くのが楽しみ!)
-みーほはいつも子どもたちの話をするときうれしそうですよね。どんなときに子どもの成長を感じますか?
たとえば、私のいる園は席が決まっていなくて自由なのですが、最初は自分の座りたいところに一直線!という感じだった子たちが、座りたいところが他の子と重なってしまったときに譲れるようになったり、じゃんけんをして調整できるようになった姿を見ると、成長したなと感じます。
-幼稚園で子どもと関わるようになって、夢職人での子どもの関わりと違うと感じるところはどんなところですか?
大きく変わりませんが、年齢も人数も違うので、子どもたちのできることが違いますね。また、幼稚園では私が先生という立場になるので、教えなくてはいけないこともあって、どうしても子ども対大人という関係になります。
夢職人では、もちろん状況によっては教えることもありますが、できるだけ「子どもたちと同じ目線で一緒にやってみる」ことを大切にしています。特に「失敗する」ことを一緒に経験できるのがいいな、と感じています。幼稚園では日々やらなくてはいけないことがたくさんあるため、一緒に失敗を経験することがなかなか難しいですね。
-前回のインタビューでは、先生になっても夢職人の活動が仕事にも活かせると思うと言っていましたよね。実際に仕事を始めてみて、その考えは変わりませんか?
はい、夢職人の活動を続けていてよかったと思います。
子どもとの関わり方などのスキル面はもちろん、継続的な活動をする中で、長い目で子どもたちの成長を見ることができるようになりました。続けて参加している子を見ているうちに、「この子にはこんなことができるようになってほしい」「こんな経験をしてほしい」と思うようになって、それがだんだん初めて会う子に対しても同じことを考えられるようになってきて。
先生になってからは、子どもの人数規模や年齢も違いますが、こういうことを大事に考えながら関わっていくべきなんだと思えているのは、夢職人での経験があってこそだと思います。
(子どもたちの個性を大切にし、一人ひとりに応じたサポートを心がけている)
-夢職人での継続的な関係づくりが、みーほの考えにも大きく影響したのですね。そのように考えるようになったきっかけはありますか?
夢職人に入って初めて参加したキャンプが、12月のスキーキャンプだったんです。その時はただ目の前のことに必死で取り組んでいましたが、何となくこれじゃダメだと思っていました。
振り返ると子どもたちのことをきちんと見ることができていなかったんじゃないかとか、反省点がたくさん出てきて、そのあとのキャンプでは、やるべきことがわかってきたこともあり、少しずつ子どもたちのことを見られるようになってきました。そうやって、うまくいかなくて、次は少し見られるようになって…の繰り返しでしたね。
-まさに、積み重ねの経験が今のみーほを作ったのですね!大学を卒業するとき、夢職人を続けるかどうか迷いませんでしたか?
迷いませんでした。仕事に慣れるまではしばらく忙しいことはわかっていたので、以前のように頻繁に活動に参加することはできないと思っていましたが、やめるという選択肢はありませんでした。
-頼もしい答えです。(笑)そんなみーほですが、学生時代と比べて、夢職人への向き合い方は変わりましたか?
大きくは変わりませんが、自分の職業を意識させられることはありますね。夢職人は教育関係者ではないスタッフもたくさんいるので、自分が仕事で先生をしていることで、他のスタッフから期待されているかも?と他のスタッフからの目も少し意識するようになりました。しかし、そのように意識が変わったからこそ、実際の子どもたちとの関わりでは変わらず、等身大の関わりを大切にしていきたいと思っています。
-ありがとうございました!これからもよろしくお願いします!
(インタビュアー ありまっち)