2019/04/25
子どもや若者を対象とした社会教育活動に取り組んでいるNPO法人夢職人では、多種多様なバックグラウンドを持った大学生や社会人がボランティアスタッフとして多数在籍し、子ども達の多彩な体験活動を支えています。
スタッフは、先生や親とは異なる立場から子ども達と関わり、親しいお兄さん・お姉さんのような存在です。「another story-もう一つの社会との関わり方」では、そんなスタッフたちが活動をはじめた経緯や活動で感じたことなど、普段はあまり語ることなかった物語をお伝えします。
今回は、公門智史さん(さとし)をインタビューしました。
―では、簡単に自己紹介をお願いします。
今、都内の大学に通っている、大学2年の公門智史です。大学では、応用化学を専攻しています。普段は図書館で本を読んだり、ふらーっと外に出かけたりその時の気分が赴くままに過ごしています。
―たしかに、いつも本とか持ち歩いていますね!ちなみに、今まで聞いたことなかったけど、応用化学ってどのようなことを学んでいるのですか?
簡単に言うと、化学を実生活でどのように活かしていくかを考えて実験を行なったり、考察をしたりします。ただ、今はその基礎として、数学や化学の勉強をしている段階です。
―確かに身の回りのものって化学で成り立っているものが多いから大切な分野ですね。ところで、学校も普段の生活も「子ども」とか関係ないなと思うのですが、夢職人のスタッフになったのは理由があったのですか?
実は、小学3年生から中学3年生まで、弟と一緒に夢職人のキッズクラブの活動に参加していて。でも、キッズクラブは中学生までなので、高校生になったら、お世話になった分、自分もスタッフとして子どもの成長をサポートするお手伝いをしたいと思いました。
―けど、確かさとしって大学生からスタッフになって活躍してくれていますよね?
最初は高校生になってすぐやろうと思っていたのですが、学校に通ってみると学校との両立が上手くいかなくてスタッフになるのをやめました。だけど、夢職人が楽しい場所だという印象が大学生になっても残っていたり、スタッフにならなかった後悔があったりしたので、スタッフになることを決めました。
(まち歩きで知らない町を散策するのが好き。夢職人で気が合う仲間にも出会えた。)
―大学生になっても思い出として残っているのはすごいですね!どんなことが楽しかったとかありますか?
どの活動がというわけではないのですが、僕は学校以外の友達や大人と過ごすことがとても楽しかったです。夢職人での友達やスタッフとは兄弟みたいな感じで接していて、何を話したのか・何をしたのかははっきりと覚えていなくても、また一緒に遊びたいと思えるくらい楽しい時間を過ごしていました。あと、スタッフが自分たちの知らないことを教えてくれて、新しいことをできる、知れる楽しさもありました。
―そんなに楽しいなんて…!私も参加してみたかったです。子どものころに参加していたスタッフに聞いてみたいのですが、子どもの時に過ごした夢職人と、スタッフになった後の夢職人は、何か違いはありましたか?
いえ、相変わらず楽しいです。けど、スタッフになってみて、大人はただ子どもたちと遊んでいるだけではなく、子どもたちの成長をサポートしようとしている熱意があることを感じました。また、毎回、事前に集まって活動の内容や危険箇所を確認していることを知った時は驚きました。
―そうですよね。私も最初は「ボランティアなのに!?」と思いました。ちなみに、今話してくれたことは団体に対しての印象だと思うのですが、スタッフに関しての印象は変わりましたか?
スタッフ観は、子どもの頃から年下の面倒を見ることは好きだったこともあり、今も変わらず面倒を見ているという感覚で変わりません。ただ、自分が成長したこともあって、スタッフの見方は変わったかなと思います。子どものころは、スタッフはもちろん年上で、新しい事とかを教えてもらえる人だと思っていました。それが今となっては、年下も年上もいるので大人になっても色々なことを学べます。
―年上や年下は学校などにもいると思うけど、何か違いましたか?
学校やアルバイトではある程度同じ年代が多いです。離れていても4歳くらい。けど、夢職人は幅が広くて下は高校生に上は10歳以上離れている人もいる環境です。自分よりも頑張っている年下を見ると感化されますし、働きながら活動に参加している社会人を見ると時間の使い方などを考えさせられます。
(子どもたちの主体性を第一に、子どもの言動を注意深く見てサポートしている)
―夢職人スタッフのパワフルさには驚かされますよね。さとしは将来の夢とかあるのですか?
今のところは中学校か高校の教員になりたいと考えています。子どもって、自分たちが思っている以上に可能性を秘めていて、気付いたら成長をしていて。それを親の次に近くで見られるのは教員だと思い、夢職人でたくさん子どもたちと関わって可能性を伸ばしてあげられる教員を目指しています。
ー子どもの可能性…。本当に夢職人の活動でもたくさん感じますよね。
この間行ったキャンプでも感じてきました(笑)ロープワークを2日間連続でやったのですが、1日目は思うように結ぶことができずに投げやりになってしまう子がいました。その子に対して、言葉で説明するだけではなく、やってみせ、一緒にやってみて、1人でやらせてみてと段階を踏んでサポートしてみました。すると、納得のいくロープワークができたようで出来た時に得意げな顔をして僕の方を見てきました。あの得意げな顔…いまだに忘れられません。
ー私も見ていました!いい笑顔でしたね。
はい。少しサポートをすると一気にできるようになるのは子どもの時くらいですよね!!!その成長を微力ながら支えていきたいです。
―さとしなら寄り添いながら支えていけると思います。最後にメッセージをお願いします!
「キッズクラブに参加していた子は、ぜひ、僕を見習ってやりましょう!」というのは冗談で。夢職人は子どもが様々な体験をする場であることに加えて、大人も様々な体験をすることができる場所です。子どものころに夢職人のように活動していたからこそ、子どもに伝えられることもあれば、参加していなかったからこそ伝えられることもあると思います。
―これからも一緒にがんばりましょう!
(インタビュアー かどまり)