2019/06/26
子どもや若者を対象とした社会教育活動に取り組んでいるNPO法人夢職人では、多種多様なバックグラウンドを持った大学生や社会人がボランティアスタッフとして多数在籍し、子ども達の多彩な体験活動を支えています。
スタッフは、先生や親とは異なる立場から子ども達と関わり、親しいお兄さん・お姉さんのような存在です。「another story-もう一つの社会との関わり方」では、そんなスタッフたちが活動をはじめた経緯や活動で感じたことなど、普段はあまり語ることなかった物語をお伝えします。
今回は、有馬直美さん(ありまっち)をインタビューしました。
―では、簡単に自己紹介をお願いします。
有馬直美です。夢職人では「ありまっち」と呼ばれています。社会人2年目のときに夢職人に入会して、3年と少しが経ちました。職業は変わらず、留学生支援を行うところで働いています。
―留学生支援というと、どのようなお仕事をされているのでしょうか?
主にアジア地域から日本に留学している学生を受け入れ、その方たちへの「日本語の教育」「日本の文化を知ってもらう機会」そして「留学生同士や日本人との交流」を事業とし、それらの企画・運営を行っています。背景には、留学生に日本のことを知ってもらい、自国と日本の架け橋となり活躍してほしいという想いがあります。
―珍しいお仕事のように感じますが、どうやって出会ったのでしょうか?
これはもう、運とご縁ですね。実は就職活動時、国際連合で働きたいという想いがありました。しかし、その時の自分が途上国に派遣されたとしてもできることは限られるのでは。であれば、私が貢献できることをしたい、と思いました。そして、運良く今の職場のことを知ったのです。
大学時代、自分自身が留学に行き、反対に留学生が自分の大学にやってくるという環境にいたことから、「留学生支援」というテーマで卒業論文を書いていました。そんな私にとって、とてもいいご縁でした。
―まさにご縁ですね。社会人になってから夢職人に入会されたとのことですが、きっかけはありましたか?
少人数の職場であるため、もう少し幅広い人と関わることができる場にもいってみたいなと思いました。そこで、学生時代から興味があった「教育」という観点でいろいろ探していたところ、夢職人の活動内容やその姿勢に共感し、応募しました。
―「教育」という軸で探していたのですね。夢職人の活動内容や姿勢というと、どのようなところでしょうか?
一つは、「これが正解です」と教える場ではなく、私も一人の仲間として一緒に考えられるところが、合っているなと感じます。留学時の経験もあり、子どもともこのような関わり方ができる活動内容や姿勢に共感しました。
(海外留学での経験や出会った友達は大切な財産になっている)
―留学時の経験とは…?
「文化の違い」や「考え方の違い」を身をもって感じることは何度もありましたね。あれは初めていったアメリカでのことです…留学してすぐ、ハロウィンパーティーに誘ってもらいました。私はとっても楽しみにしていたのです。しかし直前になっても連絡がなく、聞いてみると「ごめん、それなくなったよ」と。
そこで、約束の重みが相手と違ったことに気がつきました。アメリカではとりあえずの候補として提案することが多いようです。決してみんながみんなそうではありません。しかし、その時間を良い時間にしようと考えるからこその結果だと思うと、一概に良し悪しは判断できませんよね。
―初めてのアメリカ、初めての留学でこの出来事はショックですね…
そうなんですよ。でも、このような経験から「何を大切にするか」で最善なことも変わってくる。考えや結果は必ず一つではないことを学びました。同時に、私自身、楽になった気がします。
だからこそ、周りの誰かにも「こういう考え方もあるよね」と選択肢を増やすことができる人でありたいと思っています。これは、仕事の時も夢職人の活動の時も思っていることですね。
―ありまっちの知見の広さにはいつも驚きます。実際に子どもと関わってみて、どうですか?
子どもたちって本当に反応が早いですね。私がしっかり相手と向き合おうとすると、それに応えてくれます。逆も然り。意図していなかったことも覚えてくれていると嬉しい反面、襟元を正さなければという思いになります。その場限りの取り繕いではどうにもならない人間性が、子どもにも伝わるのでしょう。それがやりがいでもあり、難しいところですね。何かしら尊敬してもらえることがないと子どもとの関わりも成り立たないところ。
これは、私の仕事にも通ずるなと思います。「この人は信用できるな」と思える人であって、初めてスタート地点に立てるイメージですね。
―子どもも大人も、自分の鏡だなとつくづく思います。何か心に残っている出来事はありますか?
今でも心に残っているのは、初めて参加したキャンプです。同じ班だった子が、「来年もありまっちの班がいい」と言ってくれたのです。その後、さらに嬉しいことがありました。その子は次の年にも来てくれ、「ありまっちはいないの?」と言ってくれていたのです。あいにく私は海外留学中でした。
このこと他のスタッフから教えてもらって、留学後もまた夢職人の活動に参加しようと強く思いました。自分の存在や取り組んだことが何かしらで子どもの心に残っていること、本当に嬉しかったです。
(男女問わずすぐに親しくなれるありまっち。チームの結束力を高めていくことも上手。)
―その子の言葉が今度はありまっちの心に残っているのも素敵。継続して参加しているからこその出来事ですね。他にも魅力があれば教えてください!
子どもとの関わりだけでなく、ボランティアスタッフとの関わりも魅力的だと感じます。年齢や職業、趣味も違う人たちが「子ども」を軸に集まっている。さらに、同じ目的をもって主体的に集まってきた仲間であることも面白いところです。学校のクラスで会うような関係とは、どこか違いますよね。
―たしかに学校や仕事という括りでは交わらないような人とも関われますね。夢職人の活動に継続して参加しているありまっち。仕事と夢職人、両立するコツはありますか?
まず、無理をしない。というのも、周りの人に迷惑をかけたくないんです。今の自分にできることを見極めて、ちょっと頑張ればできることにも挑戦するようにしています。加えて、私にとって、仕事と夢職人のどちらにも良い影響を与え合っていることも、続けている理由の一つです。
もともとは人前に立つようなことが苦手でした。しかし、夢職人で子どもの前で話すようになり、少しは克服できた気がします。また、仕事ではスタッフに加え、各国のボランティアの方が受け入れ留学生の選考をしてくださっています。仕事では職員として、夢職人ではボランティアスタッフとして携わっているので、互いの気持ちに寄り添えるかなと思っています。
どちらか片方であれば知らなかった世界もあったかもしれないと思うと、両方続けていてよかったです。影響を受けるだけでなく、仕事と夢職人のどちらにとっても私がいることによってポジティブな影響を与えられる人でありたいです。
―ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!
(インタビュアー はたちゃん)