2021/02/20
先日、入会3年以内のスタッフを対象とした「ステップ・アップ・デイ」を実施しました。
この研修は、入会3年以内のボランティアスタッフを対象に、子どもたちとの体験・教育活動を行っていく上で必要な知識や考え方、技術などを習得することを目的としています。新型コロナウイルスの流行により、お子さん向けのイベントだけではなくスタッフ研修についても実施が難しい時期が続いていましたが、今回はオンライン形式という初の試みで研修を実施しました。
今回のテーマは「体験活動におけるリスクマネジメントを学ぼう」です。夢職人では日頃、キャンプ等の自然体験活動やレクリエーション、工作やアートなど様々な体験活動を行っています。活動では日常生活を離れて子どもたちが初めての場所を訪れたり、様々な道具を使用することも多く、安全管理が非常に大切です。当法人では、随時ボランティアスタッフが入会するため、定期的にリスクマネジメントに関する研修を行うことで、安全な活動の実施に努めています。
第一部は基礎編として、リスクマネジメントに関する基本的な事項について講義を行いました。体験活動においては「全てを禁止にするのではなく、リスクを最小限にして活動を提供していく」という基本的な考え方や、①リスクの発見、②リスクの評価、③リスクへの対処、④フォローアップという4つの段階を踏んでリスクへの対策を取っていくことを学びました。
また、重大事故につながる前に危険を事前に予測し、スタッフ間で共有していくために、「危険予知トレーニング」を行いました。実際の活動場面に近い状況のイラストを見ながら、事故やケガにつながりそうなポイントを挙げていきました。また、危険を指摘する際も、「工作で刃物を使っているから危険」という漠然とした表現ではなく、「刃物の使い方が適切でない」等、要因を明確にすることが的確な対処につながると学びました。
第二部では、事例を元にグループワークを行い、リスクの発見と評価、リスク要因の分析、対処の検討という一連の流れを体験しました。イラストに描かれている部分だけではなく、活動の目的や気候の条件、活動場所の環境といった設定も踏まえてリスクを検討します。
また、見た目で分かるリスクだけではなく、子どもの気持ち・体調やスタッフがどのような態度で臨んでいるかなど、内面的な要素もリスクとなりえます。自身が活動に参加する姿勢を振り返るとともに、子どもの様子に丁寧に目を配るという基本に立ち返ることの大切さを改めて感じるワークでした。
参加したスタッフからは「むやみにルールを作るだけでなく、子どもたちが自然と道具の管理ができるような環境設定の工夫が必要」「活動を楽しむ子どもの気持ちを汲みながら、安全面の声掛けをするためにはどのような伝え方をすればいいか考えていきたい」など、参加者の気持ちに立った一歩踏み込んだ対応についても意見が出されました。
今回の研修を通じて、参加する子どもたちのためにも、体験活動を実施する団体としての信頼をこれからも積み重ねていくためにも、リスクマネジメントが非常に重要であることを再確認しました。またオンライン形式ではありましたが、スタッフ同士の意見交換を通して新たな気づきが得られたり、活動へのモチベーションを高めるような場を持つことができました。
安全管理に万能な対応策はなく、スタッフ一人ひとりが地道に経験や観察した内容を蓄積し、場面に応じた対応を考えていくことが求められます。今回の研修の機会を活かして、活動が再開した際に、安心してお子さんたちに体験活動へ参加してもらえるよう、スタッフ一同しっかりと準備をして臨みたいと思います。
(理事 あべちゃん)