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インタビュー前編:ずいぶん回り道をしてきた。でもその回り道をしたからこそ気づくことがある。

2009/05/24

特定非営利活動法人 夢職人 代表理事 岩切準さん

1982年、東京都三鷹市生まれ江東区育ち。 高校卒業後に就職をするが、自分の人生を模索するなかで心理学を学ぶため大学を経て大学院に進学し社会心理学を学ぶ。平成16年、大学在学中に任意団体夢職人を設立。平成20年にNPO法人化。東京都江東区を中心に異年齢集団での野外教育活動、スポーツ・レクリエーション活動、文化・芸術活動などの多彩な社会教育活動を行う。現在、国籍や世代を越えた幅広いバックグラウンドを持つメンバーが地域における教育活動の実践に取り組んでいる。

#00 プロローグ

東京都江東区。この情緒あふれる下町で1人の青年が子どもたちと一緒になって笑っている。彼の名は岩切準(いわきりじゅん)。社会教育を行う教育分野の特定非営利活動法人 夢職人の代表理事だ。はじめてお会いしたのは、2008年11月。緊張しながら待ち合わせ場所に到着した私に満面の笑顔を振りまいてくれた。あれから4ヶ月。忙しいなかで無理をいってお時間を作っていただき、彼の活動とその素顔に迫るインタビューが始まった。

#01 起業前夜

岩切は江東区に育った。下町の濃い人間関係のなかでは、親や先生以外の大人とかかわる機会がとても多かったと彼は振り返る。たとえば、地域のおじさんと週末に釣りにいっては、親や先生には話せない秘密話をしていた。親や先生はどうしても利害関係があるからいいにくいこともある。そんなとき、話を聞いてくれるのが近所のおじさんおばさんだった。地域の人々がみんなで協力しあって、成長を支えてくれていた。

高校生になると、友達に誘われて地域の野外活動をおこなうクラブに参加した。クラブとはいわゆる夏のキャンプや冬のクリスマス会などに代表されるような子供会だ。そこから岩切の子どもたちとの接点がはじまることとなる。子どもたちとの野外活動にどんどんのめりこみ、気づいたら高校3年間は活動に没頭していた。

高校卒業後には、オフィスの内装や都営大江戸線の工事など、いわゆるガテン系の仕事に就いた。ここで岩切はある体験をする。それは、一般的にいわれる「ホワイトカラー」が「ブルーカラー」である岩切らにたいしてこういったのだった。

「キミたちは汚いから、資材を運ぶときはエレベーターを使ってはいけない。」

もともとやんちゃ坊主であり、曲がったことは嫌いだった岩切は、こんな社会に疑問や憤りを持ちはじめていった。そんな職場ではあったが、親方や現場の先輩と話す機会も多く、普通に大学にいっていたら、到底出会えなかった人達に囲まれるなかで、自分の人生やどう生きていくべきかということを強く考えるようになる。日雇い派遣の人や、様々なバックグラウンドを持つ人達から、「キミはまだ若いし、これからどうしていきたいんだ?」と聞かれるようになっていった。こんな日々のなかで次第に、高校時代の「子どもたちへの社会教育」という取り組みは、非常に意義のあるものだったのではないだろうかと考え出すようになる。

#02 武者修行時代

1年ののち、岩切は大学に通い始め、心理学に没頭しはじめた。大学院では社会心理学を専攻し、社会や人の心の変化など目には見えないものを調査や実験を行い可視化する技法や集団力学などを学ぶ。その後はとにかく子どもに関連した活動を展開するNPOに顔を出し続けた。他のNPOがどういう子どもに関する活動をしているのかに強い興味があったからだ。このときの時代を、武者修行時代と位置づけて呼んでいるほどだ。多くの団体に参加するなかで、自分の興味関心がやはり「地域教育」であるということに気づくと同時に、将来はカウンセラーとして働こうと考えていた岩切に一つの疑問がでてきた。

「クリニックや病院には、日々大勢の患者が訪れている。毎日毎日、たくさんの患者を相手にすれば、どんなに優秀な先生でもさすがに疲れてしまう。自分がこのなかにカウンセラーとして働くことで、はたしてこの問題が解決できるのであろうか。」

問題がおこってから対処療法的に解決のために活動するのではなく、病院やクリニックがなくても大丈夫な社会づくりをいかにおこなっていくか。つまり「予防」が大事なのではないかと考えだしたのである。

しかし、現実の壁は大きかった。本来この分野で活躍すべき行政は、ほとんど機能していない。ならば自分に何ができるのだろうか。

#03 転機

悶々とした日々をすごす岩切は、ふと、大学3年時に出会ったあるシングルマザーのことを思い出していた。それは、彼の転機といってもいい出会いだった。看護士として働くこのお母さんは土日出勤もすることがあり、悩みがあった。

「2人の子どもを土日に預かってくれる場所がないし、本来父親が体験させてあげるようなことを体験させてあげられていない。」

これを機に岩切は子どもたちをつれて近所の川の土手で遊ぶようになる。これにはシングルマザーのお母さんは大喜びだった。自分が子どもたちと遊ぶなかで、現場にはいろんな悩みや困ったことがあり、ニーズを体当たりで感じるようになっていく。

大学院を卒業した後には、就職活動もおこなった。そのなかでこれから自分が時間をかけてやっていくべきことは何かという迷いもあり、とにかく様々な会社をまわり、多くの企業から内定までいただいた。内定を得たなかで、頭をよぎったものは子どもたちの存在だったと彼はいう。

「子どもたちには、責任を持って物事に取り組むようにと日々伝えてきたんです。でも、就職して別の生き方をすることで目の前の活動を辞めてしまうことは、僕が子どもたちに教えてきたことと矛盾するのではないかと思いました。子どもたちから、岩切は矛盾してる!なんていわれたくなかったですからね」

ずいぶん回り道をしてきた。でもその回り道をしたからこそ気づくことがある

就職活動を通じて、企業でも地域社会でも、求められている人材像は同じ。それは、目の前の問題に周囲と手を取り合いながら、根気よく課題解決に取り組んでいく存在が必要だということ。そういう意味で、自分が育てていこうとしている子どもたちの「社会性」こそ、将来的にも社会にとって非常に重要なことだという確信を持っていた。

岩切は高度なマーケティングテクニックや経営論などの方法論から起業した社会起業家ではない。「大学時代は起業なんて考えたこともない」と彼は常に語っている。むしろ彼自身が現場に入り、現場の目線で目の前に存在する様々な悩みや苦しみに気づき、向き合ってきた。その過程では、「もっと自分を必要としている人がいるのではないか」と考えるようになると同時に、個人だけで活動を続ける限界を感じ出したのもこの時期だ。ついに決心をし、これらの問題に組織としてむきあっていこうと決めたのだった。高校時代の仲間とともに大学在学中に立ち上げた任意団体夢職人は、2008年NPO法人となり、大きな成長への一歩を踏み出すこととなった。

※本記事は、パラレルキャリア支援サイト「もんじゅ」より許可を得て転載しています。

後編記事(今度はキミが、子どもたちのためにいつか同じことをしてあげなさい)を読む

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保護者の声

親としては子どもが自分の身の回りのことをちゃんとできるか心配しましたが、特に問題もなく本人が楽しく参加できたようなので本当によかったです。
親が離れると不安を感じるタイプだったので、それをクリアさせたいと思い参加しました。最初はかなり緊張した様子でしたが、何回か参加するうちに知っている顔も増え、慣れたようです。
キャンプから帰ってくると、スタッフからキャンプ中の子どもの様子を報告してもらえるのもとても良いと思います。安心して預けています。
キャンプの前に面談があるので、子どものアレルギーのことなどを事前に伝えておくことができたのもよかった。継続して参加していると、昨年できなかったことが今年できるようになったなど成長を感じられます。
スタッフの方から連絡帳で、班長の役目をきちんと務めたことを教えてもらえたのはよかったです。将来大きくなって、今度はスタッフとして関われるようになったら素敵だなと思います。
何度も参加したりして人と人とのつながりができるのが魅力的。何でも不安になりがちな子だったが、一度参加して以来、積極的に次の参加もしたがり、一皮むけた感じがしました。

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