2019/05/25
本日は、今年度3回目となる、入会3年以内のスタッフを対象とした「ステップアップ研修」を実施いたしました。この研修は、入会3年以内のボランティアスタッフを対象に実施しており、子どもたちとの教育活動を行っていくうえで、必要な知識や考え方、技術などを習得してもらうことを目的としています。
今回のテーマは「発達障害について学ぼう!」です。私たちの活動にはたくさんの子どもたちが参加しており、一人ひとりに応じて大人の関わりを柔軟に変えていくことはとても必要なことです。その一つの視点として発達障害があり、基礎的な理解を深め、考え方や関わり方を知るために、研修を行っていきました。今回は、現在、公認心理師として行政機関に務めており、当法人のボランティアスタッフとしても長年参画してくださっている方を講師にお招きして、進めていきました。
まずは、発達障害についての定義からです。「発達障害は育て方によるものではなく、生まれつきの機能的な障害である」という確認をしました。また、「障害はその人個人の側にあるのではなく、社会の側にあり、社会の側の障害を取り除くことによって、障害は障害でなくなる」という考え方についても教えていただきました。
今回は、主に「ADHD」と「自閉症スペクトラム」について学んでいきます。動画や実際の現場に即した例なども交えながら、より具体的にイメージが沸くように進めていきました。「勝手に物をとってしまう…」「荷物整理がなかなか終わらない…」など、活動中によく見られる行動に関して、その行動の背景にあること、それを踏まえてどのような関わり方が最善か?などについて、みんなで考えていきました。
自閉症スペクトラムの特徴について学んでいる際、「これって自分にも当てはまるよ…?」という感想も出ましたが、「スペクトラム」(連続体)という考え方にも触れ、どこまでが健常で、どこからが障害という明確な境界線はない、ということも改めて確認していきました。
また、後半は、ロールプレイングを通じながら、関わり方の練習をしていきました。1つ目は「肯定的フィードバック」の練習です。発達障害をもつお子さんは、その特性について周囲の理解が得られないと、叱られることが多くなり、自己肯定感が育ちにくくなってしまう場合があります。行動に対して、できるだけ肯定的なフィードバックを返すことが、「自分はこれでいいんだ」と自信を持つことができます。
子ども役、大人役、観察役に分かれて、相手の行動に対して肯定的なフィードバックをする練習をしていきました。「ほめる」ことも一つですが、笑顔で話しかけたり、目線や姿勢を合わせる、という行動も「肯定的」なフィードバックに入る、ということが参加者の大きな気づきだったようでした。
2つ目は、「ブロークンレコード」です。これは、相手にとってほしい行動について、同じ言葉で繰り返し伝えてみるという練習です。こちらも子ども役、大人役に分かれて実施しました。普通に伝えた場合と、繰り返し伝えた場合の印象の違いなどについて話していると、「今はそうしなきゃいけないんだな、ということがわかった」という感想がある一方、「信頼関係ができていないと、単に冷たい印象を与えてしまう」という意見も出て、まさしくその通りだと感じました。
最後にまとめとして、発達障害を持っているお子さんを特別視するのではなく、その子たちにとって心地のよい関わり方は、他の子どもたちにとっても心地のよい関わり方である、というお話をいただきました。今回の研修の学びを胸に、大人よがりではなく、子どもの視点に立った関わり方を、常に模索していきたいと思っています。
(副理事長・コーディネーター 山田)