2016/06/24
子どもや若者を対象とした社会教育活動に取り組んでいるNPO法人夢職人では、多種多様なバックグラウンドを持った大学生や社会人がボランティアスタッフとして多数在籍し、子ども達の多彩な体験活動を支えています。
スタッフは、先生や親とは異なる立場から子ども達と関わり、親しいお兄さん・お姉さんのような存在です。「another story-もう一つの社会との関わり方」では、そんなスタッフたちが活動をはじめた経緯や活動で感じたことなど、普段はあまり語ることなかった物語をお伝えします。
今回は、井口南さん(ぐっち)をインタビューしました。
―まず、自己紹介をお願いします。
井口南です。私立大学の教育学部教育学科の4年生で、今は教師になるための勉強をしています。大学1年生の時に、夢職人のスタッフになりました。好きな食べものは甘いものと鶏肉。自分を一言で表すと「笑う、笑ってられる」ですね。バイトの時なんか先輩に「笑顔だけで採用した」って言われるくらい(笑)
-ぐっちは今、教育を専攻しているとのことだったけど、何で教師になろうと思ったんですか?
子どもが好きだからです。子どもが好きだなって思ったのは、自分が小学生の時からです。あとは、学校が好きっていうのもあるかな。小学生の時なんか、インフルエンザにかかって家に帰らなきゃいけないっていう時に、あまりにも学校が好きすぎて帰りたくなかったので、保健室のベッドの下に隠れたこともあります(笑)そのくらい学校が好き。好きなことを仕事にしたら楽しそうだなって思って、教師を目指そうと思いました。
あともう1つ理由があって、私の父は小学校の先生で、父は自宅に教え子たちを呼んでバーベキューしたり、クラスで問題を抱えている子を連れて映画に行ったりしていたんです。それを身近で見てきて、そういう子どもと関わるのっていいな、楽しそうだなと思いました。
(左:大学の文化祭で子どもとレクリエーションをしている様子 右:雪国出身で地元の友達と遊ぶのも楽しみ)
-先生のお父さんを間近で見てきたから更に教師という職業に魅力を感じたんですね。では、なぜ夢職人に入ろうと思ったかを教えてください。
自分が小学3年生~6年生のときに長期休みにキャンプに行く団体に入っていて、将来、アルバイトでやってみたいなって思ってたんです。大学に入ってからは、部活をやっていたのでボランティアなどは参加していなかったのですが、ケガで部活をやめたのがきっかけで、部活以外で自分のやりたいことをやろうと決めました。そこで、小学生の子どもとキャンプへ行くような団体をネットで検索したのがきっかけです。
-夢職人を見つけるまでに他の団体も比べたりしたんですか?
比較しました。夢職人に入ろうと思った決め手は、子どもたちと本当の兄弟のような「半兄弟」の関係づくりを大切にしているので、継続的に子どもと関われると思ったからです。
-ぐっちが子どもと兄弟のような関係を作ることや活動を継続してしていく中で、思い出に残っていることはあますか?
活動に出ている時に「あ、ぐっちだ!」って子どもに言ってもらえるのが嬉しいです。特にキャンプが好きで、3日間を通して班が一つになったのを強く感じることが魅力的です。キャンプ1日目はみんなはじめましてで、お互いのことを全然知らないところから始まって、最終日になると班のみんなで一つのことについて話していたり、部屋を出る時に子どもたち同士で「これ持ったー?」「持ったよ!」と確認し合っているのを見ると、「キャンプっていいな!」って思うんです。
-キャンプは他の活動よりも一緒にいる時間が長い分、子どもに対する思い入れも一層強くなりますよね。そういう体験は、大学に通っているだけではできない貴重なものだと思いますが、実際に夢職人で活動して学んだことはありますか?
大学でも夢職人でも共通しているのは、子どもの教育なんですが、大学は座学がほとんどなので、実際に子どもと関わるのではなく知識だけを身につけているという感じがします。それに比べると夢職人では、実際に子どもと関わって学べるというところが大学と大きく違うところです。
あとはパソコンの使い方です。プロジェクトの時は、企画書を書いたり書類を作る時にワード、エクセル、パソコンを使う機会がとにかく増えるので、マスターしました。パソコンの使い方に限らず、プロジェクトをやると人前で話したり、パワポを使ったりしてプレゼンする機会が増え、先輩たちにその都度指導してもらいながらできるようになりました。
(子ども同士を結びつけるチームビルディングが上手なぐっち。学年に関わらず子ども達から信頼される存在。)
-子どもとの接し方は、実際やってみないとわからないことが多いんですね。今、夢職人で学んだことを話してもらいましたが、学校でそれを活かせたことはありますか?
夢職人を通じて紹介してもらった小学校の介助員としてお手伝いに行っていた時に、活動の経験が活きました。例えば、先生から急に子どもたちの前で話す機会をもらっても、あまり動じずに対応できたり、子どもに自然と話しかけたりすることができています。
また、夢職人で色々な学年の子どもと接していたおかげで、何を話せばいいかなどのコミュニケーションの取り方を低学年と高学年とで変えたりします。実際に夢職人の活動で子どもと接してみて、子どもの実情がわかっていないと「何を話していいのかな?」と悩んでいたと思います。教育学部で授業を受けて知識は身についていても、やっぱり実際に子どもと関わらないと分からないことはたくさんあります。
-実際に子どもと関わることがとても大切なんですね。ぐっちが介助員をやってみてそこでの新たな気づきや学んだことはありますか?
小学校は先生一人に対して、子どもが30~40人になりますよね。夢職人で受け持つ3~6人より、遥かにたくさんの子どもたちをまとめあげなければいけないんです。だから、学級経営においてチームビルディングがとても重要だと思います。小学校で介助員をやっていた時に色々な先生を見てきました。その中でも先生のパターンが2種類あって、自由時間の過ごし方を子どもに任せる先生と、5分程のわずかな時間でもみんなでレクリエーションをやる先生とがいるんです。私の主観ですが、後者の方が子どもとの関係性を作れているように思います。
レクをやるかやらないかで全くそのクラスの雰囲気も違うので、そこで改めてチームビルディングのために遊び等を取り入れるのも必要なんだなと感じました。
ーぐっちの将来に活きる経験になりそうですね!インタビューをありがとうございました!
(インタビュアー:あゆ)