2016/05/20
子どもや若者を対象とした社会教育活動に取り組んでいるNPO法人夢職人では、多種多様なバックグラウンドを持った大学生や社会人がボランティアスタッフとして多数在籍し、子ども達の多彩な体験活動を支えています。
スタッフは、先生や親とは異なる立場から子ども達と関わり、親しいお兄さん・お姉さんのような存在です。「another story-もう一つの社会との関わり方」では、そんなスタッフたちが活動をはじめた経緯や活動で感じたことなど、普段はあまり語ることなかった物語をお伝えします。
今回は、横山優さん(よこ)をインタビューしました。
―まず、自己紹介をお願いします。
横山優といいます。関ジャニの横山くんと漢字が違いますが同じ名前です!夢職人では「よこ」というあだ名で呼ばれています。法政大学キャリアデザイン学部キャリアデザイン学科の3年生です。
―大学でどんな勉強をしていますか?
今、地域活性化について研究するゼミに所属しています。そこでは、現代で失われつつある地域の魅力などを現代に適した形でリノベーションすることを研究しています。具体的には、どの街にも必ず1つはある銭湯をサードプレイス(新たな地域の居場所)にするために、実際に銭湯に行って調査をして、リノベーションの案をみんなで考えている、といった感じです。最終的には、リノベーションの案を「銭湯協会」というところへ出しに行くのがゴールです。
(左:大学のゼミで銭湯に調査へ 右:小学校の頃から高校まで野球をずっと続けてきた)
―ありがとうございます。では本題へ。よこが大学1年生の時に夢職人に入ろうと思ったきっかけを教えてください。
そもそも大学に入学した当時は、将来、小学校の先生になりたいと思っていたんです。
―え、そうだったんですか?
そうなんです。だから、大学4年間の内に子どもと関わる経験をしたいと思っていました。先生、つまり、子どもに物事を教える立場になるということは、「自分がそれだけの価値のある人間にならなければ!」という思いがあって…。4年間の中でちゃんと1つのことを続けて頑張りたいなと思っていました。そしたら、同じ大学の夢職人のスタッフに縁あって誘ってもらい、入ることに決めました。
―子どもに関わる団体は多くありますが、どうして夢職人だったんですか?
大学の先輩に誘われてから、まず団体の説明会に行きました。そこで、社会人のスタッフが多くいることや、子どもたちと関わる活動の企画側にもなれる、と知って、すごく魅力的に感じたんです。説明してくれたスタッフが本当きらきらして見えて、カッコよかったというのも大きかったです(笑)。
この説明会で、子どもと関わるスキル以外の部分でも自分を成長させられるとすごく感じました。当時、サークルにいくつか所属していましたが、そこでは「成長」よりも「楽しさ」の方が強かったです。サークルは、その時は楽しいけど、サークルの活動が終わって自分が「成長」できたのかと考えると、あまりそれは実感できませんでした。だから、夢職人という環境だったら「成長」できると思いました。
―1年生でそれを感じてたんですね。でも、なんでそこまで「成長」にこだわりがあったんですか?
これはあまりみんなにも話したことはないんですが…自分は大学付属の高校から持ち上がりだったので受験をして入ってきた人より勉強がずば抜けているわけじゃないし、高校の部活も頑張ったけど最後まで良い結果がついてこなかったので、大学に入った時も「俺は何もできないんじゃないか」「自分の頑張りが足りないんじゃないか」という思いでいっぱいだったんです。だから、大学の4年間で何か一つ頑張り抜きたいと思っていました。うまく言えないですが、高校3年間の中で自分が思う「成長」を感じられなかったので、大学4年間で「成長」したくて、夢職人に入りました。
―そうだったんですね!長く一緒に活動してるけど、初めて聞きました(笑)。ちなみに、さっき夢職人では「企画ができるのが魅力で」と話してましたが、企画をした経験がありましたか?また、企画に対してどのようなイメージを持っていましたか?
えーと、企画経験は0です。企画自体に対してもイメージすらわかなくて、分からないけどなんかカッコイイことだと思ってました。説明会で話していたスタッフみたいなカッコイイ人間になれるのかなって思いました。(笑)
(子ども達からも親しみやすく大人気の「よこ」。子どもたちの良きお兄さん的な存在になっている。)
―そんな経験なしの状態で飛び込んで、いざ企画を経験して…。その感想を聞かせてほしいのですが、今まで関わった企画の中で、印象に残っている企画はありますか?
入って半年の時、宿泊のキャンプの企画チームのリーダーに立候補しました。自分とほぼ同い年の大学生4人がメンバーとして加わってくれて、約3か月間の企画をしました。プログラムの内容はもちろん、子どもたちの成長の場を考えたり、どんな思い出を持って帰ってもらえるか一生懸命考えて議論したりもしていました。でもこれがなかなか大変で…。
―何が一番大変でした?
負担が大きかったのは、メンバーとのやり取りや仕事の割り振りといったマネジメント面です。小学校の頃から野球をやってたので、チームで一緒に何かをすることに特に抵抗はなかったんですが、自分自身がみんなの先頭に立った経験がなくて…。だから、何をしたらチームとしてうまくいくのか分からず、メンバーに物理的にも精神的にも負担をかけてしまうことが度々ありました。負担をかけすぎてしまったせいで、メンバーに企画チームから抜けたいとまで言わせてしまい、そのことに自分が直前まで気づけなかったことがすごくショックでした。
あとは、経験が足りなくて分からないことについて、自分がリーダーだから決断しなきゃいけない、ということに重たいプレッシャーを感じていました。この2つに押しつぶされながら、当日も何とか乗り切りましたが、当時が辛すぎて、正直あまり思い出せないんです…(苦笑)企画が無事に終わった後は、「終わったんだ」という安堵感もあったけど、「次こそはうまくできるようになりたい」という思いの方が強かったです。自分で立候補したのにうまくできなかったことが悔しかったので、絶対にもう一度、再挑戦しようと思っていました。
―なるほど、辛かったんですね。そのあと、またチャンスはあったんですか?
それが、あったんです。初めての企画から3か月後、今度は日帰りプログラムの企画責任者をやらせてもらえることになったんです!キャンプが終わったあと、先輩スタッフと会って、企画の進め方や考え方、物事の決め方について相談する時間をとってもらいました。社会人のスタッフだったので、普段の仕事で使っている考え方なども丁寧に教えてくれて、自分のダメだったところや次の企画で直していくべきところを一緒に話し合っていきました。このときの話を元に、自分を含め4人のメンバーと一緒に企画がスタートしました。企画を進めている途中で行き詰った時も、先輩スタッフのアドバイスがあったので、やり方と見方を変えれば自分にもできるんだ!と思いました。素直に、それがすごくうれしかったです。当日終わった時の達成感は、これまでに経験したことがないほど大きかったです。
―再挑戦の機会に恵まれてよかったですね!では、これらの企画を通して学んだこと、「成長」したと感じるところをぜひ聞かせてください。まだ大学の4年間は終わっていませんが、1年生の時に思ってた「成長」は得られましたか?
はい、得られました。人の先頭に立って引っ張っていく経験を初めて夢職人でやらせてもらって、企画の面白さとリーダーの在り方について学べました。企画の中でもまだまだできないことはあるし、目指している先輩スタッフのリーダー像には全然届いていませんが、自分に足りないところが分かっただけでも一歩の「成長」だとは思ってます。あとは、就活で、ライバル(?)がたくさんいてもビビらなくなりました(笑)この点はとても役立ってます。
―よこ自身が、これからチャレンジしてみたいことはありますか?
まだ企画をやったことがない学生に対して、自分が先輩スタッフにしてもらったように、悩んでいるところなどを教えていける立場になりたいなーと思ってます。自分が大変だったとき、先輩スタッフや同世代の子、本っ当に色んな人に助けてもらって、自分はそれがあったから最後まで頑張れたし、今もこうして続けていられると思っています。だから、辛い状況でも諦めずに頑張っていけるように今度は自分がサポートしていきたいです。
―よこ、ありがとうございました!
(インタビュアー:めぐ)