インタビュー

小田清香:フツーの大学生になりたくなかった。価値観を広げる出会いがある。

2016/06/10

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子どもや若者を対象とした社会教育活動に取り組んでいるNPO法人夢職人では、多種多様なバックグラウンドを持った大学生や社会人がボランティアスタッフとして多数在籍し、子ども達の多彩な体験活動を支えています。

ボランティアスタッフの詳細

スタッフは、先生や親とは異なる立場から子ども達と関わり、親しいお兄さん・お姉さんのような存在です。「another story-もう一つの社会との関わり方」では、そんなスタッフたちが活動をはじめた経緯や活動で感じたことなど、普段はあまり語ることなかった物語をお伝えします。

今回は、小田清香さん(こだちゃん)をインタビューしました。

―まず、自己紹介をお願いします。

夢職人では「こだちゃん」というあだ名でスタッフや子ども達から呼ばれています。大学は、音楽大学のピアノ科で今年の春に3年生になりました。大学の吹奏楽部に所属し、クラリネットを演奏しています。

―大学ではどんな勉強をしていますか?

将来は、学校の先生になりたいので、音楽の先生になるための勉強をしています。

―学校以外ではどんなことをして過ごしていますか?

生まれも育ちも江東区です。普段の生活は、大学と、部活と、勉強、そして夢職人です。

ーありがとうございます。音楽尽くしの学校生活なんですね。楽しそうです!ではそろそろ本題へ。どうして夢職人に入ろうと思ったのですか?今までのコミュニティでは物足りなかったんですか?

今までは学科の友達と、ピアノ科以外の子がいる部活、あとは地元の友達としか普段会わない環境にいました。音大生って実はちょっと特殊で、基本的に小さい頃から家でピアノとか楽器の練習をしないと音大に入れないから、そのレッスンで多くの時間をとられちゃうんです。加えて小学校から音大の付属に通ったり、音楽科のある高校に進学する場合が多いです。

つまり、限られた世界の中で育ってきた人がとても多いんです。そんな中、自分は小中高が公立出身なので、音楽以外の部分ではいわゆる一般的な環境の中で育ってきました。音大生たちとは音楽についての価値観は合いますが、それ以外の価値観が合う人間関係がほしかったんです。

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(左:ピアノの試験のリハーサルの様子  右:EXILEのファンで、よくドームのライブに行く)

ーなるほど、それで大学の外のコミュニティを探したんですね。でも、どうしてわざわざボランティアに?バイトでもよかったんじゃないですか?

えっと…これを言うと世の中の同世代に怒られそうですが、フツーの大学生が嫌だったんです(笑)

ーフツーって(笑)具体的にはどんな大学生ですか?

「大学に行ってサークル行って、バイトをする」というのが、私が思い描くフツーの大学生です。この3つのサイクルをひたすら回していくことに、あまり成長を感じられなかったんですよね。

ーちなみにバイトはしていましたか?

大学1年生の時だけ、パン屋さんで働いてました。そこではランチタイムの呼び込みがメインの仕事だったんですが、でした。だけどバイトからは、お金を貰える以外のメリットが全然感じられず、せっかく自分の時間を使うならお金以外で「何か」得られるものがほしかったんです。

ーそうなんですね。その「何か」っていうのは明確なものがあったんですか?

うーん。ちょっと抽象的になっちゃいますけど、一言で言ったら「成長」です。大学に入ったときから教員志望でしたし、せっかくなら子どもと関わる時間を増やしたいと思いました。子どもと関わることで、自分の成長も得られると思っていました。

ーでも、子どもと関わるんだったら、小学校で学習指導をするボランティアとかもあったと思いますが、なぜ、夢職人だったんですか?

学校以外の教育の現場を見てみたかったんです。教員志望なので、大学を卒業したら学校で働くことになると思って、それだったら今の内に学校以外の場で子ども達が学んだり遊んだりする場に関わってみたかったんです。それで夢職人を検索して、入ろうと決めました。

ーありがとうございます。では次に、こだちゃんが思う「フツーの大学生とは違うこと」ができているか聞いてみたいと思います。夢職人で活動に参加してみて、どんなことを感じましたか?

学生だったら大学があって、社会人だったら仕事。そんなふうに、みんなそれぞれ本業があると思うんですが、夢職人には「本業以外のことを全力で楽しみながらやっている人たちが集まっている」ということがすごく魅力的でした。あとは、社会人がいることがとても大きいと思います。夢職人では、社会人と学生が対等に議論できます。活動の中で、子どもとの関わり方についてあれこれ話し合いもするし、団体の運営面について決めるときも学生が排除されることがない!こういう環境ってなかなかないと思うんです。

ー確かにその区切りはないですよね。社会人と一緒だった活動の中で、思い出に残っていることはありますか?

夢職人に入って3カ月くらい経ったとき、初めて宿泊のキャンプに参加しました。それまでは日帰りのプログラムしか参加したことがなかったので、初めて子どもたちと丸3日過ごすことがすごく不安でした。プログラム中に子どもたちが揉めたらどうしようとか、食事の面倒を自分が見れるのかなとか、心配事がたくさんありました。でもその時に、先輩の社会人スタッフが荷物の準備の仕方とか子どもとの関わり方をすごく丁寧に、忙しい中、時間を割いて相談に乗ってくれたんです。それが本当にうれしくて、当日も悩みながらでしたが、子ども達と楽しく3日間を過ごすことができました。社会人の先輩スタッフのおかげです。それがきっかけとなって、夢職人のことじゃなくても相談できる関係性を築くことができました。今でも夢職人に関係ない話で盛り上がったり、一緒にご飯を食べに行ったり、進路の相談にものってもらったりしています。

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(いつも子ども達と全力で向き合っているこだちゃん。どんな時も粘り強く子ども達をサポートしている)

ー学生では、求めていた価値観の合う子はいましたか?

これはもう自信を持って言えます!いました!違う大学の話が聞けるのがすごく楽しいです。音大生同士の話の中では出てこない、ゼミの話とか、就活の話が学生同士で当たり前のように飛び交っているのが面白いです。それはバイトでも同じことができるかもしれないけど、夢職人の学生は子どもたちのために一生懸命になっていたり、どこか自分を成長させようと思って集まってきている人たちだから、そこの価値観がとても合うと感じています。自分も学生だけど、同い年とか近い年齢の学生からは社会人とはまた違った刺激を受けまくってます(笑)

ー受けまくっているんですね(笑)ちなみにスタッフを見ていて、スタッフに共通してることって何か見つけましたか?

夢職人の人は、時間の使い方がうまいなって思います。学生も社会人も本当に忙しい人が多いけど、それを理由に何もやらないのではなく、むしろ自分から積極的に手を挙げて色々なことにチャレンジしたり参加したりしています。隙間時間を上手に使っているのが素直にすごいと思いました。ちょっと身内の話になってしまいますが…ピアノ科は学科の中でも比較的忙しい方で、発表会や試験の前はもうそのことしか考えられない人が多いし、自分もそうでした。でもよくよく見直してみたら忙しい中でも隙間の時間はあるし、自分は十分忙しいと思ってたけど、もっと自分のキャパシティを広げてできることはたくさんあるんじゃないかと思いました。しかも夢職人の人は任せられた仕事をこなしつつ、プライベートも仕事もしっかり充実していて、全部中途半端にしないところがすごいんです。隙間時間を使うのがうまいからこそ、そういう自分の時間も大事にできているんだなと思うし、尊敬しています。

ーたしかに、学生も社会人を見習ってうまく時間を使う人が多いですね。では、次の質問。夢職人の人たちはこだちゃんにとってどんな存在ですか?

えー何だか恥ずかしい(笑)そうだなー、うーん、家と大学と、もう一つの居場所って感じですね。

ー比率で言ったらどれくらいですか?

えっと、家:大学:夢職人=2:4:4ぐらいです。家が他の半分ですね(笑)なんか、どこかで何かに行き詰まったときに、他の居場所があるっていいことだなって思うんです。いつも一つのことに没頭してしまうとつい周りが見えなくなってしまいがちなんですけど、夢職人だったり大学だったり、悩んでいるところとは違うもう一つの居場所があると、悩んでいることにもプラスに向き合えるようになったり、自分の中で見方を変えたりできるようになるんです。そこがいいなって思います。

ーこだちゃん、インタビューをありがとうございました!

(インタビュアー:めぐ)

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保護者の声

親としては子どもが自分の身の回りのことをちゃんとできるか心配しましたが、特に問題もなく本人が楽しく参加できたようなので本当によかったです。
親が離れると不安を感じるタイプだったので、それをクリアさせたいと思い参加しました。最初はかなり緊張した様子でしたが、何回か参加するうちに知っている顔も増え、慣れたようです。
キャンプから帰ってくると、スタッフからキャンプ中の子どもの様子を報告してもらえるのもとても良いと思います。安心して預けています。
キャンプの前に面談があるので、子どものアレルギーのことなどを事前に伝えておくことができたのもよかった。継続して参加していると、昨年できなかったことが今年できるようになったなど成長を感じられます。
スタッフの方から連絡帳で、班長の役目をきちんと務めたことを教えてもらえたのはよかったです。将来大きくなって、今度はスタッフとして関われるようになったら素敵だなと思います。
何度も参加したりして人と人とのつながりができるのが魅力的。何でも不安になりがちな子だったが、一度参加して以来、積極的に次の参加もしたがり、一皮むけた感じがしました。

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